その正体は!

fuji-hime2009-08-27

昨日の続きです。
拡大して見てみましょう。
拡大というよりは割る前のものです。

これは撒き糊(まきのり)あるいは蒔き糊(まきのり)といいます。
もち粉と亜鉛末を竹の皮に薄く延ばして乾燥させた物です。とっても手間がかかった物なんです。
最近ではこんな手間なことをされる職人さんはほとんどいないと思います。
使い方は生地にふのりを引いてこの撒き糊をパラパラと撒きます。(好きな大きさに割って使います)
そうすると次第に糊が溶けて生地に定着します。その後上から引き染めをすると糊が置かれた部分は染まらずに白く糊の形で残ります。その後蒸して洗い流せば出来上がりです。

撒き糊の良い所は角があってシャープに仕上がります。ロウケツのロウ吹雪とかいうやり方もありますが、このシャープさはでません。撒き糊を使った着物は今でも高級品です。


さて、実は噂ではこの撒き糊と言う物を聞いたことはありましたが、現物を見たのは初めてでした。
本当に感動しました。写真を見ていただくと薄っすら竹の皮の筋が付いています。色は別に竹の皮から滲み出たのではないらしいんです。亜鉛末のせいだとY氏がおっしゃっておられました。
このY氏、私とはちょうど親子程、歳が離れています。家も近所でたまに仕事をお願いしたり相談に行きます。
私に色んな事を教えたいと言って、行くたびに道具のことや技術を見せて下さいます。
今回もこのように大事に押し入れにしまっていた物を分けて下さいました。それを使って染めた物を見せる約束をしました。Y氏は「ええもん作りや〜」って言うけど。。。来年の府の展示会はこれを使った作品を作ろうかなぁ。